マネー情報〜電子マネーの仕組みの原点は?
マネー情報に電子マネーがよく出てきます。電子マネーとはどんなものでしょうか?
経済価値の決済手段である「貨幣・通貨が紙や金属などのもの」であるのに対して、電子マネーとは、経済価値を「電子的なデータに変えてデータ通信を介して決済をする」手段です。
代表例がEDYであり、SUICAです。EDYやSUICAなどの電子マネーとは経済価値そのものでもあり、小さな小さなコンピュータでもあります。コンピュータは昔の日本では電子計算機と呼ばれていましたね。でも、いまのEDYやSUICAなどの電子マネーを電子計算機とは誰も呼びません。
EDYやSUICAなどの電子マネーの仕組みの原点を知るために、コンピュータの元祖をご紹介します。コンピュータの元祖は、ENIAC(エニアック)です。EDYのおじいちゃんみたいな名前ですねENIACは1946年2月14日にアメリカのペンシルバニア大学で初めて公開され、1955年10月2日まで軍事用に使用されていました。このENIACは、17468本の真空管、70000個の抵抗器、10000個のキャパシタ等で構成され、幅24m、高さ2.5m、奥行き0.9m、総重量30トンと大掛かりな装置で、設置には倉庫1個分のスペースを要しました。消費電力はなんと150kW。開発費の総額はなんと1940年代の価値で、49万ドルでした。現在のコンピュータは二進法で計算を行うものがほとんどですが、ENIACは内部構造に十進法を採用していました。符号付き10桁の演算が可能で、毎秒5000回の加算、14回の乗算が行えました。20個の変数と300個の定数を記憶するメモリをもち、フロッピーディスクなどの外部記憶装置は備えていませんでした。なので、世界初のコンピュータとは呼べないとの考え方もありますので、ここでは、EDYやSUICAなどの電子マネーの「元祖」としてご紹介しておきます。
小さな小さなコンピュータと呼ばれるEDYやSUICAなどの電子マネーは、どうしてこんなに小さくできるようになったのでしょうか?最大の理由はICの発明です。ICはIntegrated Circuits の略で日本語では「集積回路」といいます。デジタルデータを入れたり出したり記憶したりする媒体です。ICは形状はより小さく、集積度はより大きく成長を続けてきました。例えていえば、より小さな部屋により多くの人が住めるようになってきました。古い順=集積度が小さい順に挙げますと、
・SSI:Small Scale Integration 小規模集積回路 2〜100(素子数)
・MSI:Medium Scale Integration 中規模集積回路 100〜1000
・LSI Large Scale Integration 大規模集積回路 1000〜100k
・VLSI:Very Large Scale Integration 超大規模集積回路 100k〜10M
・ULSI:Ultra Large Scale Integration 超々大規模集積回路 10Mを超える
・GSI:Giga Scale Integration ギガ・スケール集積回路 1Gを超える
となります。
EDYやSUICAなどの電子マネーには、このICを利用したメモリ(RAMやROMやEEPROMなど)やCPUやI/Oなどを基板に装填したICチップが組み込まれています。チップを敢えて日本語に訳すると「小片」です。したがい、ICチップとは「集積回路小片」になりますね。IC1個がが1つの部屋だとすると、ICチップは4LDKのマンションといった感じです。
ICチップが搭載されたカードがICカードです。EDYやSUICAなどの電子マネーやおサイフケータイ機能をもつ携帯電話器は、このICチップのお蔭で実現したのです。元祖である倉庫1個分の大きさの「ENIAC」誕生から年月を経て、凄い能力と機能をもった小さな小さなコンピュータである、EDYやSUICAなどの電子マネーとおサイフケータイ機能をもった携帯電話器が誕生したのです!
マネー情報〜電子マネーEDYやSUICAが非接触型といわれるワケは?
電子マネーEDYやSUICAが非接触型といわれるワケは、結論からいえば、利便性をよくするために、カードや携帯電話器をリーダ・ライタをくぐらせて接触させないからです。
電子マネーEDYやSUICAにはICチップが組み込まれていることは、前に述べましたが、このICチップには、四角形か楕円形のアンテナが内蔵されています。リーダ・ライタにもアンテナが内臓されています。電子マネーEDYやSUICAとかおサイフケータイ機能つき携帯電話器がかざされると、最初に、リーダ・ライタ側のアンテナから電磁波が発せられて、電子マネーEDYやSUICAとかおサイフケータイ機能つき携帯電話器側のアンテナに電波が届きます。
その後に、双方間でデジタルデータのやりとり、すなわち、データ通信が行われるのです。このデータ通信は無線・オフライン通信です。しかし、リーダ・ライタからホストコンピュータ(データ処理サーバ)間は有線・オンライン通信です。
リーダ・ライタとは、デジタルデータを読み取り・書き込みするための端末で、改札口、コンビニ、スーパー、高速道路入口など様々なところに様々なタイプのものが設置されています。クレジットカードの加盟店が承認をとるときにガシャとやるCATもリーダ・ライタですが、まさに接触型(コンタクト型)です。
そうです。電子マネーEDYやSUICAやおサイフケータイ機能つき携帯電話器はかざすだけですよね。リーダ・ライタをくぐらせませんよね。これが、電子マネーEDYやSUICAが非接触型(コンタクトレス型)といわれるワケです。
ここでカードなるものを少し整理してみましょう。カードには、・一般カード(紙、プラスチック)・磁気カード(紙、ストライプ、全面)・光カード・ICカードなどがあります。ICカードには、接触型と非接触型と接触/非接触両用型があります。ICカードにはCPUが搭載されているものといないものがあります。
電子マネーEDYやSUICA及びおサイフケータイ機能つき携帯電話器は、ほとんどが、CPUつきのICチップが搭載された非接触型です。ICチップにも様々ありますが、代表的なものは、欧州ではオランダのフィリップスエレクトロニクスが開発したMifare、日本のソニーは自社が開発したFeliCa、米国のモトローラが開発したものがあります。
日本のEDYやSUICAなどの電子マネーやおサイフケータイ機能つき携帯電話器は、ほとんどがFeLiCaを搭載しています。しかし、FeLiCaを搭載している電子マネーや携帯電話器の機能や提供されるサービスが一定とは限りません。FeLiCaの最大能力が決まっていても、FeLiCaのどの機能を活用するかは、FeLiCaを搭載している電子マネーや携帯電話器がどのようなサービスを提供しょうとしているのかに左右されるからです。
マネー情報〜電子マネーにはEDYやSUICA以外にどんなものがある?
2007年度日本ではICカード全体で約1億7,550万枚が発行されました。2012年度には約3億2,230万枚(約645億円)と予測されます。
そのICカードを利用した電子マネーには、主なものだけで、次のものがあります。
●プリペイド型・携帯アプリにも対応したもの。・Edy(ビットワレット)4,390万枚・Suica/モバイルSuica(JR東日本)2,384万枚・nanaco(セブン&アイ)660万枚・Cmode(日本コカ・コーラ)・WAON(イオン)620万枚
●プリペイドカード型のみのもの。・ICOCA(JR西日本)410万枚・TOICA(JR東海)・PASMO(パスモ)2,384万枚・Pidel(日本たばこ)・Kitaca(北海道旅客鉄道株式会社)
●ポストペイ型・おサイフケータイにも対応したもの。・iD(DoCoMo)328万枚・QUICPay(JCB)225万枚・Smartplus(三菱UFJニコス)22万枚・VISA TOUCH(ビザ・インターナショナル)・eLIO(ソニーファイナンス・インターナショナル)
●ポストペイカード型のみのもの。・PiTaPa(スルッとKANSAI協議会)76万枚・PayPass(マスターカード)・pitカード(栄光ゼミナール)などです。
ICカードは利用しませんが、電子マネーと呼ばれるものには、パソコン上でのみ使用されるウェブマネーなるものがあります。BitCash、WebMoney、Digi-Coin、NET CASH、ちょコム、オフラインデビット、エーカ、C-CHECK、GAMECHECKなどです。
これだけ種類が多いと、互換性があるかどうかが利便性のキーになります。現在、互換性がるカードは次のとうりです。・「PASMO」⇔「Suica」・「Suica」⇔「ICOCA」⇔「TOICA」・「ICOCA」⇔「PiTaPa」・「RapiCa」⇔「いわさきICカード」などです。